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3331 スタッフによる 舞台裏レポート

2013年舞台裏: 山車人形「熊坂」の組立実況


古くから保存されている山車人形の様々なパーツが並べられた。

2013年、アーツ千代田 3331は開館3年目にしていよいよ町の祭礼、神田祭を体験する事になった。(東日本大震災の影響により、2011年の神田祭は例大祭のみとなった) 神田祭に合わせ、地域文化である祭礼やその歴史を紹介する展覧会を行うにあたり、監修者には木下直之氏(当時:東京大学教授)をお迎えした。そして、木下氏からの助言もあり、神田明神にご協力を仰ぐことになった。

同神社の権禰宜・岸川雅範氏に窓口になっていただき、さまざまな展示品についてアイディアを頂く中で、「かつての山車で使われていた『熊坂』の人形がある」という話しになった。その人形が飾られている山車は、町内の御神酒所に飾られている様子を写した写真や記念の葉書が作られ、とにかく資料がたくさんある。貴重な歴史的資料である熊坂は神田明神に奉納され、大切に保管されていたがこの機会にお披露目することになった。

組立当日、1台の軽トラックが展示搬入口に横付けされ、布にくるまれた様々な大きさの塊や木箱が次々と運び込まれた。それらを開梱し、展示室のフロアに広げ、山車の台座と同じ高さに調整された展示台の上で熊坂人形の土台が組み上げられ始めた。組立は岸川氏が行った。


左の人物が岸川氏。その横では、神田探偵団としておなじみの立山西平氏がアシストしている。

丸裸になった熊坂の胴体には、生々しささえ感じられるような迫力があった。手順を写真で確認しながら、さまざまな衣装を取り付けていく。

自分の身体よりも大きなサイズの山車人形を組み上げていく。このように再現できる人がいなくなったら、人形もただの小道具の集まりになってしまうと思うと、組み立てる機会を設け、その方法を継承することはとても重要であるように思う。


間近で見るとよくわかるが、腕に生えている細かい毛も描き込まれている。

いよいよ仕上げに近づいてくる。衣装が重ねられ、人間さながらの厚みを感じる。リアルな物を追求する作り手のこだわりも感じられる。


正しく組み立てられているか、古い写真を見て確認する岸川氏。

大きな長刀を差し込んで、間もなく完成。組立は予想に反して1日で完成。熊坂人形が静かに睨みをきかせて展示室に鎮座した。

担当:宍戸 遊美

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